地獄のAEAD・バッハ パルティータ3番プレリュード
2016.05.24. 19:12
ガイゲは若かりし頃、五反田にあった東京ヴァイオリン制作学校に通っていました。
当時、皆バイオリン職人を目指しているのに、5月になると日本酒造りのために田植えに行く変わった先輩がいました。
音大出身のこの日本酒先輩は、音階を全部通して弾くのが日課で「うぉ~やっと手が温まってきたぜ!」と、学校ではその超人ぶりを惜しげなく披露してくれた面白い先輩でした。(今は日本酒好きが高じて杜氏になられたようです。)
学校が終わり練習のために音楽室に行くと、たいてい日本酒先輩がいました。
先輩はバッハの無伴奏パルティータ3番プレリュードを曲芸クラスのどえらいスピードで弾いているではありませんか。
これ↓
しかも先輩、弾きながら山形訛りで叫んでるんです、一人で。
「うぉぉ~!俺はどごさ弾いてんだ?どごさいるんだがさっぱりわがんねぇ!!」
と、譜面上で迷子になり叫びながらも完璧に弾かれていた姿を今でも記憶しています。
先輩が行方不明になった場所(17小節目〜、67小節目~など)↓
レッスンで「1ページでも良いからこれやってみなさい」とコピーを頂いてきたのが当時先輩が遭難したこの楽譜。
無伴奏パルティータ3番プレリュードはコンクールなどの課題にもよく選ばれる曲とのことです。
「E durはね、響きにくいから音が取りにくいんだよね」と先生。
上の譜面で17小節目から(解放弦A↓E↑A↓D↑・AEAD・AEAD...)のボーイング、どうやったらあんなに早く混乱せずに弾けるんでしょう。
ボーイング・音階もさることながら、久々のバイオリン演奏で姿勢が悪くなっていてボーイングも曲がっているよとご指摘頂きました。
今日の先生のご指導がなかったら、私は悪い姿勢で一人練習を続けていたかもしれないし、曲がったままの弓に気づかずに今のボーイングを続けていたかも知れません。
「バイオリンはね、予習より復習だよ」と言われる意味が良く分かった、2年ぶりのレッスンでございました。
(5分先生ありがとうございました!)
ということで、まずは音取りから始めます。
(以下2016.05.25追記)
先生とお電話する機会があり、「音階はE durをやった方が良いですか」とうかがうと、以下のアドバイスが。
まずは音の取りやすいB dur等で解放弦が響く正しい音程を取ってポジション移動できるように練習した方が良いね。
E durは響きにくいから正しい音も取りづらいからね。
パルティータ3番はAEADの移弦が難しい。みんな最初はできないよ。だからコンクールで取り上げられるんだよ。
ガラミアンのポジション移動も、指番号を書かずに各ポジションを押さえられるように練習すると勉強になるよ。
「みんなが苦手とする奏法をいかに練習して自分のものにできるか」が大切なのですね。頑張りマッスル。