マーラー交響曲1番「巨人」 ディン・ポコ?
2014.10.18. 01:40
2014/10/17(金)、サントリーホールに演奏を聴きに行ってきました。
ちょうどこの日、サントリーホールでは東京地区の毎コン(日本音楽コンクール)が開催されていました。
ガイゲのバイオリンの先生(5分先生)の生徒さんが高校の部でNo1だったそうです。う~ん、先生も生徒さんもすごい!
先生と入れ替わるように、ガイゲたち夫婦は夜のサントリーホールへ。ペトル・ヴロンスキー指揮・読響の演奏で、マーラーの交響曲第一番です。ガイゲの先生が以前働いていた読売交響楽団です。
交響曲第一番「巨人」は、誕生、喜悲劇、苦悩を感じさせる曲です。
さて単刀直入に感想を書いていきましょう。
1楽章・2楽章、テンポ遅めでよくまとめたなーという感じ。すごく丁寧。マーラーっぽくないけど悪くない。
3楽章、上の楽譜の部分。葬送を暗示するメロディ。沈黙という緊張のなか、ティンパニが良い仕事していました。
そして4楽章。テンポ良かったけどまとまり悪かったかな?
4楽章は緊張感と共に金管の自信あふれる演奏を弦が盛り上げ、ぐわ~っと人々の注目をひっぱり堂々と終わって欲しいパート。
最後の最後は、人々の注意を集めたあとに「ディン・ドン!」と終わる楽章です。
なのになのに、今日の演奏は「ディン・ポコ?」と終わるじゃありませんか!あの最後のコンマ数秒の瞬間で、「ブラボー!」って気持ちが激減。拍手の前に後ろの外国人が何か話始めていたくらい。もうちょっと強さを保っても良かった気がします。
あとは全体的な感想ですが、ある第一バイオリンがまたひどかった。
演奏中、一度も椅子の背もたれから背中を浮かせたことがありません。演奏も「弾くふり」をしているみたい。
そしてトライアングル。複雑なリズムの演奏中は終始譜面を凝視。演奏中は一切指揮者を見ない。
最後にシンバル。1楽章の出番で、バシーン!とやってはいけないタイミングでバシーンとやろうとして「おっと!」という感じで自制のニアミス。私は見ていなかったけど、これはクラシックのわからない主人が気づき笑っていました。
・・・とまぁ、愚痴になっちゃいましたけど、いいところもいっぱいありましたよ。
ヴロンスキーさん。あまり有名ではないと思うのですが、とても丁寧でハートのある指揮者に感じました。全部をコントロールするのではなく、それぞれの楽器に歌わせる余裕も。
コンサートマスターもすごく頑張っていました。椅子に座るとブーと鳴るブーブークッションを置いたら、演奏中何度ブーブー鳴ったか分からない程全身で演奏。あれは相当疲れるだろうな。
そして、マーラーって難しいんだなと感じました。たんなる変人じゃないんですね。
また、それぞれの楽器のプロの演奏を一つにまとめて曲を作り上げるという作業は、大変に難しいことなのだと再確認。同じ読響でも指揮者が異なれば全く違う作品になるわけですし。
ホールで聞く演奏は、まろやかに響く弦楽器、空気を貫いて届く金管楽器の鋭さとパワー、絶大な影響力を与える打楽器など、会場の臨場感と楽章の繋がりの「間」を感じることができます。
スピーカーでは耳障りなフォルテッシモも、生演奏では全く違う生き物のように訴えかけてきて、感動と共に全身で受け取らなければならない状況に観客が追い込まれるのです。オケ団員の魂が一つになる生演奏の臨場感は、やはり素晴らしい。また聴きにいきたいな。
ちょうど演奏が終わって六本木で遅いディナーを食べている時に、5分先生からお電話を頂き色々お話したのですが、指揮者と楽団員との仲が上手くいかないと、半ボイコット状態の演奏になることもあるそうです。まぁ、人間ですからね。。。
「ディン・ポコ?」の趣味は人それぞれだと思いますが、今日の演奏はそんなにひどくはなかったです。でも、もっともっと良くなる演奏だと言える感じ。5分先生曰く、「あまり練習時間が取れていなかった可能性もあり」とのこと。確かに、そんな感じだったかも。
最後に、このコンサートに付き合ってくれた、バッハとベートーヴェンを聴かせても違いが分からななくて、S席分の料金のステーキをむしろ食べたいと願う主人に感謝です。マーラーに付き合ってくれてありがとう❤